年をとる毎に強く感じる

むかし母が、安井曽太郎という画家ののポストカードを
兄と私に一枚ずつ選ばせてくれたことがある。
私の好きな画家なの、と
そんなことを母が言ったのは
後にも先にもあのときだけだと思う。
兄は桜を、私はバラを選んだ。
多分私は一輪でもやっていける花が好きなんだと思う。
チューリップとかひまわりとか菊とか。
それでも桜だけは特別で
先に選んでおきながら、兄が桜をとったのを見て、
あ、いいなと思った。
今、通り沿いに咲いている桜を見上げては
あの吸い込まれそうな妖気にくらっとすることがある。
春は要注意なのです。